外国人を雇用する企業側においては、なるべく手続的に面倒な事情がない人材を採用したいと思うものです。一般的な就労ビザは、一定の就労制限があり、その範囲内での仕事しかできません。例えば、調理師として雇われた技能ビザの外国人が、営業の仕事をすることはできませんし、その逆も同様です。また、転職する場合も、その職務内容によっては在留資格に合致しない可能性も生じます。
しかし、いわゆる「身分系」の在留資格を持つ外国人にはこの「就労制限」がありません。身分系の在留資格とは「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」です。これらの方々は、例えば「技術・人文知識・国際業務」ビザでは認められない、接客や販売、単純作業労働などに就くことも可能ですし、他の仕事への転職も簡単にできます。
配偶者ビザ申請時に、婚姻の信ぴょう性が厳しく審査されるのは、この「就労制限がないというメリット」を狙った、いわゆる「偽装結婚」をさせないためだということも、一つの理由であると言えます。形だけ結婚して、結婚後は一緒婚姻生活をすることもなく、ひたすらお金を稼ぐことだけ…というのはダメです。
雇う企業側は、在留カードなどによって、就労制限のない在留資格があるかどうかをしっかりと確認して採用してください。