「留学」「技術・人文知識・国際業務」などのビザで、すでに日本に中長期で滞在している外国人の場合は、日本に住所があり銀行口座も開設することができますので、設立がしやすいです。ここでは「株式会社」の設立について解説します。
定款とは簡単に言うと会社のルールです。これを作るために最初に決めなければならないのは、以下のようなものです。
(1)会社の名前(商号) 「株式会社」は、会社名の前でも後でもいいです。例えば「●●株式会社」とか「株式会社●●」などです。
(2)会社住所 会社の住所は自宅でも構わないのですが…在留資格「経営・管理」の取得を目指すのならば、自宅とは別に事務所を借りるべきです。独立した事務所があることが求められます。 (とりあえず自宅住所で設立して、ビザ申請の前に独立した事務所に住所変更することも可能ですが、登録免許税がかかることになりますし、税務署等への異動届出書なども出す必要があります。)
(3)資本金額 経営管理ビザを取るためには「1人で」「500万円以上」出資することが必要です。(ビザを考えなければ、1円で設立することも可能なのですが) また、1000万円以上にしてしまうと、2年間の消費税免除が受けられなくなります。 この資本金は国に預けるようなお金ではなくて、会社の事業資金ですので事業のために使っていいのです。この点について誤解のないようにしてください。
(4)代表取締役と出資者が誰かを決めます。 「代表取締役」と「出資者(お金を出す人)」は、一般的に同じ人が多いですね。
(5)取締役の任期 2年~10年を選ぶことができます。10年にする人が多いようです。
(6)事業年度 これは「決算」をいつにするのかということです。よくあるのは1月1日~12月末とか、4月1日から3月末とかで、自由に決めてかまいません。設立日から最初の決算までは、できるだけ長いほうがいいと思います。(設立後にすぐ決算が来るのは大変ですね)
(7) 事業目的 会社がどのようなビジネスをするのかについて、その目的を書きます。今すぐにはやらないけれども、将来的にやるつもりのビジネスについても記載していいです。 注意する点としては、そのビジネスに「許認可」を取る必要があるかどうかということです。例えば中古品の売買を行うのであれば古物商の許可が必要になります。ビザ申請の前に許可を受けておく必要があります。 |
定款ができたら、公証役場で公証人の認証を受けます(認証時に5万円+謄本代の実費が必要です)。また、紙で作成した定款の場合は4万円の印紙税が別途必要になりますが、行政書士などに依頼して「電子定款」にすれば印紙税は0円です。 |
定款の公証が完了したら、次は資本金(500万円以上)を振込みます。「個人の口座」に振り込みます。(まだ会社ができていないので、会社の口座はありません)。自分の口座に、自分の名前で振り込むということです。誰がいくらを振り込んだかしっかりと記載されるように振り込みます。これにより、通帳に出資者(経営管理ビザの申請人)の名前で500万円以上の出資があったことになります。 そして、その通帳をコピーして「払込証明書」を作成します。これが資本金の証明書ということになります。 |
自分ですることもできますが、司法書士に依頼するとスムーズです。行政書士は「登記」はできません。会社設立をサポートする行政書士は、一般的に登記を担当する司法書士と提携しているので、スムーズな手続きができます。この「登記申請日」が「会社の設立日」となります。
1~4までが完了すると、『経営管理ビザの申請人である外国人が代表取締役となっている会社』が出来上がることになります。
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これから新たに経営管理ビザを取って(認定証明書交付申請)、日本に来ようとしている場合はどうなるのでしょうか。
この場合の問題点は、会社の事務所と銀行口座です。
海外に在住している外国人は、日本国内で銀行口座を作ることができませんし、通常は不動産の賃貸借契約を結ぶこともできないでしょう。そうなると、会社の設立は不可能になります。
このような場合は、日本に在住する「協力者」が必要です。
その協力者に、最初だけ代表取締役となってもらい会社を設立して、経営管理ビザが取得できたら、協力者は代表取締役を辞任するという方法があります。
株式会社と比較してみると、次のように費用面でのメリットがあります。
(1)定款の公証人認証が不要(認証費用5万円がかからない)
(2)登録免許税が最低6万円で済む(株式会社は基本15万円)
2つの会社には次のような違いがあります。
『株式会社』
出資者と経営者が分離している。
経営者=出資者(株主)であるとは限らない。
『合同会社』
出資者=会社の経営者となります。